病院では患者さんの病気やけがを治すために「くすり」が欠かせません。 今ある「くすり」だけでは治すことのできない病気もあり、優れた「くすり」を必要としている人がいることを知っていますか? 効果的な治療法が見つかっていない病気は今もたくさんあり、新しい「くすり」の開発が必要とされています。
「くすり」の誕生は10年以上の歳月をかけて慎重にすすめられます。
- 【基礎研究】
-
1.「くすりのもと」の発見(2~3年)
様々な物質の中から「くすりのもと」となりそうな物質を探します。
- 【非臨床試験】
-
2.動物での試験(3~5年)
動物を対象に、どんな作用があるのかを確認するための試験を繰り返し行います。病気に対しての効果が期待でき、問題となる副作用がないと確認された「くすりのもと」は「くすりの候補」となります。
- 【治験】
-
3.人で実際に使ってみる(3~7年)
ここでいよいよ「くすりの候補」が人に使われます。「くすり」として使用する前に、どうしても人において効き目(有効性)や副作用(安全性)を調べなくてはなりません。
- 【承認申請】
-
4.くすりの誕生(1~3年)
試験結果をまとめて国(厚生労働省)に提出し、くすりとして役立つか審査を受けます。
- 【製造販売後調査】
-
5.くすりを育てる!(4~10年)
くすりが誕生してからも、引き続き安全に作用するか確認し続けます。
人につかったときの効き目や安全性について調べる試験のことを「臨床試験」といいます。 その中でも、国(厚生労働省)から「くすりの候補」を「くすり」として認めてもらうために行われる試験のことを「治験」と呼んでいます。
「治験」は、3つの段階に分けて慎重に進められます。
-
第1段階:健康な人で
ごく少ない量の「くすりの候補」から使い始め、だんだん量を増やしていき、副作用について注意深く調べます。
-
第2段階:少数の患者さんで
「くすりの候補」が安全か、病気に対して効き目があるか、さらに使い方(使う量・期間・間隔など)を調べます。
-
第3段階:多数の患者さんで
最終的に、これまでの結果でわかった「くすりの候補」の効き目や副作用を調べ、標準的な使い方を確認します。
多くの人が安心して参加できるように治験は厳しいルールのもとで行われています。
国(厚生労働省)は製薬会社の計画がきちんとしているか調べ、実施中も安全性情報を収集しています。また、病院ではその治験を実施していいかどうかを倫理的・科学的な面から確認しています。 治験はGCP・薬機法といった国のルールにのっとって実施されています。(薬事法改正にて名称変更しているため)
GCP:国(厚生労働省)が定める「医薬品の臨床試験の実施の基準」
(Good Clinical Practice)
薬機法:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
これらは、参加する方の人権や安全、プライバシーを守っています。